秋も深まる10月下旬、東京・三軒茶屋の劇場に足を運ぶと、この日ばかりは現代美術作家 杉本博司さんが主の茶室のゲストとして観客はもてなされます。
『三茶三味 〜三味線音楽を聴く〜 鶴澤清治×杉本博司』
は、『杉本文楽 曾根崎心中 心中付り観音廻り』で、文楽の斬新な演出を行い大きな話題を呼んだ現代美術作家の杉本博司さんと、演奏のみならず、作曲や新作構成を通じて文楽(浄瑠璃)の新たな可能性を広げ続ける人形浄瑠璃文楽座 三味線の鶴澤清治さん(人間国宝)が再び手を組み、今度は三味線音楽を「聴く」ことにこだわった公演です。
会場の空間構成は杉本博司さんによるもの。杉本文楽でも舞台上を彩る本物の数々に大いに魅了されましたが、今回は劇場を茶室と見立て、杉本博司作「月下紅白梅図」や長谷川等伯作「四季柳図屏風」などの美術作品が舞台を彩り、三味線音楽を引き立てます。
また、この公演は三部構成となっており、第一部では、異色の組み合わせによる、各界の著名人の鼎談が行われます。お気に入りのあの人の話を聴きに行くのも良し、興味を誘われるあの人の話を聴きに行くのも良し。日程ごとに異なる顔合わせですので、全日程に足を運んでも楽しめるのでは。
10月23日(金) 山村友五郎(日本舞踊・山村流六世宗家)× いとうせいこう(作家・クリエーター)× 野川美穂子(邦楽研究家)
10月24日(土) 尾上菊之丞(日本舞踊・尾上流四代家元)× 桜井秀俊(ミュージシャン・真心ブラザーズ)× 野川美穂子(邦楽研究家)
10月25日(日) 杉本博司(現代美術作家)× 橋本麻里(ライター・編集者)× 野川美穂子(邦楽研究家)
第二部では、鶴澤清治さんが構成する「三味線組曲」の演奏を楽しみ、第三部では、義太夫節の「卅三間堂棟由来(さんじゅうさんげんどうむなぎのゆらい)」(通称「柳」)を素浄瑠璃で楽しみます。「三味線組曲」は、義太夫節の表現の一つである「メリヤス」(三味線のみで演奏)の旋律を組み合わせた義太夫節の新作器楽曲で、太棹三味線の厚みのある音色が楽しめる一曲となりそうです。「卅三間堂棟由来」は、宝暦10年に大阪・豊竹座で初演された「祇園女御九重錦」の三段目切に基づいており、人間の妻となった柳の精のお柳、夫の平太郎、息子のみどり丸の3人を主要人物として、夫婦と親子の突然の別れを描く名作中の名作を、太夫と三味線のみの素浄瑠璃で演奏します。
多様な演出で楽しみながらもじっくりと義太夫三味線による音楽を味わうことの出来る公演です。
チケット発売中。公演に関する詳細はこちらから。
【公演情報】
[日程] 2015/10/23(金) 〜 2015/10/25(日)
[会場] 世田谷パブリックシアター
[空間構成] 杉本博司(現代美術作家) [監修] 野川美穂子(邦楽研究家)
[出演]※鼎談は本文中に記載
鶴澤清治(人形浄瑠璃文楽座 三味線)、鶴澤清志郎(人形浄瑠璃文楽座 三味線)、鶴澤清馗(人形浄瑠璃文楽座 三味線)、鶴澤寛太郎(人形浄瑠璃文楽座 三味線)、豊竹呂勢大夫(人形浄瑠璃文楽座 太夫)
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