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「素」の魅力、ぎゅぎゅっと。

更新日:2020年12月18日



絵画の世界にデッサンというものがあります。 着色はなく、線だけで対象の骨格を、輪郭を、陰影を写しとっていくデッサンは、 絵を描くときの基盤であり、描き手の技量が如実に現れるものでもあります。


芸能にもそんなデッサンに相当するものがあります。 能楽の場合は、仕舞(しまい)と呼ばれるもので、 演者は紋付き袴姿で能の中の見せ場となる一部分を舞います。

囃子もなく、寄り添うのは地謡のみ。 装束や面による視覚的要素がなく、舞い手の技量が丸見えになってしまう仕舞。 色彩のない世界に、どれだけイメージを描き出せるかはひとえに舞手の実力によります。


仕舞は能楽の略式の一つの形ではありますが、 「略式」と一言でくくってしまうにはちょっと語弊がある。 デッサンがそれ自体で絵画とは別の味わいや面白みがあるように、 仕舞には仕舞の面白さがあるのです。 それは身体性をより感じられる点。 能楽師の身体の動きは、軽さと重さ、緩急、収縮と拡散、弛緩と緊張など、 相反する力が同居したなんとも不思議で独特な美しさがあって、仕舞はそれがよく伝わってきます。


さて、今回ご紹介するのは、そんなデッサン的魅力といいますか、素の面白さがぎゅぎゅっと詰まった公演です。 セリルアンタワー能楽堂開場15周年記念の特別公演、の本公演じゃなくてプレ公演 プレ公演は、能はなく、素囃子(囃子方のみの演奏)、舞囃子(囃子つきの仕舞)、仕舞で7曲。 しかも東西のシテ方、ワキ方、囃子方の競演で、京風と江戸風の芸の違いなども感じられるのではないかなと期待が高まります。

詳細はこちら

 

開場十五周年記念特別公演 プレ公演 日程 2016年5月6日 (金)午後7時00分開演(午後6時30分開場) 会場 セルリアンタワー能楽堂


【演目・出演者】 素囃子-東西の囃子方による- <西> 笛 左鴻泰弘 小鼓 成田達志 大鼓 谷口正壽 太鼓 前川光範 <東> 笛 一噌隆之 小鼓 幸正昭 大鼓 亀井広忠 太鼓 小寺真佐人

舞囃子「高砂 八段ノ舞」 味方玄 舞囃子「東北」 友枝真也 仕舞「紅葉狩」 宝生欣哉 仕舞「大蛇」 福王和幸 大島輝久 舞囃子「石橋」 片山九郎右衛門 舞囃子「猩々乱」 友枝雄人


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