2017年もいよいよ下半期に突入です。が、焦らず慌てず、今月も伝統芸能の世界へいざ。7月から8月にかけて行われる公演やチケット発売になる公演のうち、ここん的に注目しているのはこんな感じです。
――<能楽>―――――――――― ★能楽堂に着物でGo! 『京の雅 狂言と十二単』 日時:7月15日(土)午前の部:11:00開演 午後の部:14:00開演 場所:セルリアンタワー能楽堂 料金:S席(正面)12,000円、A席(脇正面)11,000円、B席(脇席)10,000円 ⇒詳細
狂言(能楽)の元となった猿楽が成立した平安時代の宮中女性の装束、十二単を見たことがありますか?十二単には、襲(かさね)色目の美しさで季節を表すなど、当時の女性のこだわりが詰まっています。この日は、狂言を楽しみながら十二単の着装を実際に目の前で観ることができちゃいます。着付け実演の解説は市田ひろみさん。ぜひ、着物を着て公演を観に行ってみてはいかがでしょうか。
★語り継がれる武士の物語 『能の魅力を知る 仇討の光と影-望月-』 日時:7月28日(金)19:00開演 場所:セルリアンタワー能楽堂 料金:S席7,000円、A席6,000円、B席5,000円、学生席(桟敷)3,500円 ⇒詳細
金子直樹さんの解説と、友枝雄人さんの能「望月」。能の各流派の中でも特に武士の気風を色濃く残す喜多流の力強い能は、「仇討ち」というテーマにぴたりとはまります。仕舞や狂言はなく、能ひと演目だけの上演。しかも物語の筋が分かりやすく、また酒宴で謡い舞う場面など見所の多い「望月」を解説つきで観るというのも嬉しい。
★夏休みのお出かけにぜひ 『人間国宝・山本東次郎先生の狂言の時間』 日時:8月5日(土)14時~ 場所:横浜能楽堂 料金:大人2000円、子ども500円(チケット発売中) ⇒詳細
東次郎先生の狂言は誰にでもおすすめですが、特に初めての人にとっては、最初に行く舞台として間違いない公演です。狂言2番にお話もついてこのお値段。子連れで行くのにも絶好の機会です。
★銀座の路上で能と狂言 『金春まつり』 日時:8月1日(火)~8月7日(月) ・ 路上奉納能…8月7日(月)18:00開演 ・ 能楽講座…8月1日(火)〜8月6日(日) 12:00~13:00、14:00~15:30 ※子ども験教室も 3日(木)、5日(土)にあり
場所:銀座金春通り・スリーエイトビル前ほか 料金:無料(奉納能は16:00より金春通りにて座席指定券を配布) ⇒詳細
金春は、もともと奈良を拠点にしたお能の古~い流儀。江戸に出てきた時に銀座一角に屋敷を構え、その前は今「金春通り」と名付けられているとか(銀座資生堂パーラーの裏)。トークやワークショップのほか、メインは路上奉納能。銀座の路上で能と狂言。いいじゃないですか!
★新感覚? 体感型/共感型の能楽体験 『体験する能 黒塚』 『能楽カフェ 悩める女子の心に能を〜立ち止まる空間〜私たちの心のありようを能と一緒に考えるプレ・トーク番組』 日時:7月29日(土)能楽カフェ:13:30開演 黒塚:16:00開演 場所:宝生能楽堂 料金:S席6,500円、A席6,000円、B席5,500円、C席5,000円、学生券4,000円 ⇒詳細
鑑賞前のナビゲート企画など、趣向を凝らした能楽体験を提供してくれる『体験する能』シリーズ。AR(拡張現実)世界を体感できる最先端の鑑賞体験や、能装束の着付け体験など、楽しみどころが満載。さらにさらに!『黒塚』と同日に行われるイベント『能楽カフェ』に大注目(黒塚の鑑賞券で入場可能)。現代女性の抱える悩みに能楽に登場する女性達を参考に向き合ってみよう、というWEBでの新たな試みや、人気声優の甲斐田裕子さん、能楽評論家の金子直樹さん等のトークでは、人生のヒントを見つけることができるかも。前代未聞(!?)能装束ファッションショーも開催。観るだけではない、体感型/共感型の能楽体験はかなりオススメ。
――<邦楽>――――――――――
★幻の公演アゲイン! 『床だけコンサートⅡ』 日時:9月19日(火)19:00開演 場所:大田区民プラザ大ホール 料金:5,000円(チケット発売中) ⇒詳細
文楽のお芝居部分を抜きにして音楽だけを楽しむという、ちょっと変わった公演です。いろんな節をメドレーで聴かせてくれたりと、とにかく義太夫三味線の音色にたっぷりと浸れてヤバいです。2013年12月の第一弾から3年半。幻のコンサートと半ばあきらめていたところへの第二弾、Don’t miss it!
★とにかくかわいい♡ 『粋曲~江戸のラブソング~柳家小菊』 日時:7月13日(木)14:00開演 場所:日本橋・三越劇場 料金:3,500円(チケット発売中) ⇒詳細
こんなにかわいい三味線音楽があるのー!?と、老若男女をメロメロにしちゃう小菊さんの唄と三味線。普段は寄席でも聴けますが、6年振り待望のCD発売に寄せてのライブということで、小菊さんの音曲をたっぷり堪能できる貴重な機会です。イープラスではまだ残券があるよう。急げ~!
★ストレスフルな現代に、地歌は癒しです。 『第85回 藤本昭子 地歌ライブ記念公演』 日時:8月13日(日)14:00開演 場所:よみうり大手町ホール 料金:3,000円(チケット発売中) ⇒詳細
ゆったりゆるい、しっとり響く、倍音が気持ちいいお箏と三味線と唄。藤本昭子さんは東京の地歌界のトップランナー。間違いありません。さらに今回は、地歌の次代を担う実力派の男性演奏家陣が共演。本当はアコースティックがいいんだけど、今回のよみうりホールはマイクが入ってしまうと思います。それでも、ぜひSit back, Relax, and Enjoy!
★一度は聞いてほしい、駒様を 『女流義太夫 御殿をめぐる女たち』 日時:7月29日(土)14:00開演 場所:紀尾井ホール 小ホール 料金:4,000円 ⇒詳細
女流義太夫の人間国宝・竹本駒之助様。一度は聴いておかないと後悔します。その駒様を筆頭に若手から中堅までが出演する女流義太夫の公演。駒様を聴く機会はいろいろありますが、この公演はホールのコンパクトさもオススメです。
――<演芸>――――――――――
★初心者フレンドリーな落語会 『シブラク』 日時:7月14日(金)~18日(火) 時間は会ごとに異なりますので、WEBサイトにてお確かめください。 場所:渋谷ユーロスペース 料金:1200円~2500円(大人当日券) ⇒詳細
いろんなスタイルの落語会を集めたシブラクこと渋谷らくご。定席の寄席とはまた違った雰囲気で初心者フレンドリーです。ふらっと寄って、1~2時間笑って、また日常へ。7月のシブラクも顔付けを見るに、面白いこと請け合いです。
★風情あるお寺で楽しむ落語とお能 『一之輔落語×竹灯籠能「鉄輪」』 日時:9月9日(土)14:30 一部「落語」/16:30 二部「竹灯籠能」 場所:妙壽寺本堂(世田谷区北烏山) 料金:一部二部通し 一般6,500円、学生4,000円 ⇒詳細
毎年秋に妙壽寺で開かれている落語とお能の会。お寺の本堂で聴く春風亭一之輔さんの落語に、竹灯籠の灯りに誘われていつもより深く物語に入りこんでしまいそうな浅見慈一さんの能「鉄輪」。駅からは少し離れたところではありますが、わざわざ出掛けていきたくなる風情のある会です。
★今のうちに聴いておきたい 『川柳川柳 昭和音曲噺 夏のガーコン祭り』 日時:8月12日(土)14:30開演 場所:自由学園明日館講堂 料金:3,000円(チケット発売中) ⇒詳細
川柳川柳(かわやなぎ せんりゅう)師匠の名物ネタ「ガーコン」。御年86歳の師匠が軍歌や唱歌を次々陽気に唄う・・漫談のようなと言えば伝わるだろうか。軍歌は知らない世代だが、なぜか楽しい。毎年終戦の日辺りで開かれるガーコン祭り。しかと聴いて笑っときましょう、今のうちに。
――<日本舞踊>―――
★池袋のあうるすぽっとの夏イベント! 『みんなの日本舞踊』 日時:8月18日(金)15:00開演 場所:あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター) 料金:大人2,000円/中高生1,000円/子ども(4歳~小学生)500円 ※4歳未満入場不可 ⇒詳細
あうるすぽっとの夏祭りに、お芝居や盆踊りと一緒に日本舞踊も登場~♪超人気&実力派の花柳基さんと藤間蘭黄さんが、愛嬌たっぷりに踊りの楽しさを存分に見せてくれること間違いなし。
★若手から中堅の実力派がそろう 『花形名作舞踊鑑賞会』 日時:8月26日(土)15:00開演 場所:国立劇場小劇場 料金:5,100円(チケット発売中) ⇒詳細
注目は尾上紫さん。舞踊家でありながら役を演じることにも長けた稀有な日本舞踊家。地方が唄・杵屋勝四郎さん、三味線・杵屋勝松さん、囃子・藤舎呂英さんというのも嬉しい。おすすめ!
――<歌舞伎>――――――――――
★チケット瞬殺だけどがんばれ! 『第三回 研の会』 日時:8月27日(日)17:00開演/28日(月)12:00開演、17:00開演 場所:国立劇場小劇場 料金:11,000円(7月15日チケット発売) ⇒詳細
国立の小劇場という小さなスペースで、勢いのある若手人気歌舞伎者・尾上右近丈が開く自主公演。チケットはそりゃあもう争奪戦でしょうが、ぜひとも見に行きたい!
★チケット即完のあのコクーン歌舞伎が映画館で! 『シネマ歌舞伎 四谷怪談』 日時:9月30日(土)より 場所:全国の映画館にて 料金:2,100円 ⇒詳細
2016年6月にシアターコクーンにて上演されたコクーン歌舞伎『四谷怪談』がついに映画になりました。「歌舞伎を映画で観るなんてつまんないんじゃな〜い???」「やっぱり歌舞伎は生で観るに限る」などなど、伝統芸能/舞台の映像化に疑問視する声はごもっとも。かくいう私も「舞台は生で観る派」の一人ですから。でも、『シネマ歌舞伎 四谷怪談』は、ありがちな定点撮影と一方向からの寄り映像だけではない、”ちゃんと観れる”舞台映像なんです。監督の串田和美さんは、元シアターコクーンの芸術監督でコクーン歌舞伎の演出も手がける舞台のプロ。そんな串田監督だからこそ、”ちゃんと楽しめる”迫力のある映像が出来上がったのだと思います。
――<その他>――――――――――
★とにかく期待大! 『SAYUSA-左右左』 日時:9月2日(土) 14:00開演 場所:横浜能楽堂 料金:3,500円(チケット発売中) ⇒詳細
コンテンポラリーダンス(現代舞踊)と能楽の相性は、基本、めちゃくちゃいいと思う。この公演は、ダンサー・能楽師(囃子方)ともに実力派が揃っただけでなく、振付・演出に海外の一流を入れている(伝統芸能の公演ではなかなか無い!)ほか、ドナルド・キーンさんの原案指導で、能の手法を取り入れたダンス創作らしい。何が起こるかよくわからないけど、とにかく期待大!!!
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