精いっぱい唄ったあとは喉が渇きます。おけいこ終了後は当然のごとく、足はまっすぐ駅には向かいません。何はともあれビールで喉を潤す、というのがわれらのお決まりパターンです。 この日もお気に入りの居酒屋で伝統芸能話に花を咲かせていたところ、K嬢がエイヒレをつまみながら「浴衣会は玄人っぽい浴衣を着たいなぁ」とつぶやきました。
ん?クロウトっぽい浴衣?
K嬢の認識によると、伝統芸能の世界の玄人さんが着る浴衣は圧倒的に白地。で、柄は藍。 自分が持っている金魚柄の浴衣は、イメージがちょっと違う。浴衣会では玄人っぽい浴衣を着て唄いたい。そう言うのです。
素人なんだから素人っぽい浴衣でいいじゃない、と思ったそこのアナタ。チッチッチッ、素人こそ形から入ってナンボですよ。 ここはいっちょ、浴衣会用にその玄人っぽい浴衣とやらを誂えようじゃありませんか。
かくして企画されたのが、「ゲッツ!YU・KA・TAツアー」。
やってきたのは馬喰町の問屋街です。基本、業者さん用ですが、中には一般の人が買えるお店もあり、和装の問屋さんもあります。
果たしていい反物との出会いはあるでしょうか?
「日本一」と書かれた赤い幟に期待が高まります。
私たちが向かった和装問屋Tは、5階建てのビルすべてのフロアにありとあらゆる和装関連の品々が並んでいます。「和装のデパートや~」と言ってみたところでそのまんまです。身も蓋もありません。
折しも店内は棚卸決算セール中。はやる気持ちを抑えつつ、浴衣コーナーへ。反物の山を前にテンションあがるあがる。あれやこれや広げてお見立て開始。楽しー♪
帯もいるわよねー。やっぱりきりりと博多織かしらー。とさらに盛り上がり…。
あれこれ当てては顔映りを確認し、ファイナルアンサーとなったのは、萩の柄の綿コーマの浴衣と秋草柄の綿絽の浴衣。1枚の予定がなぜか2枚買うことになり、さらに半幅帯、夏名古屋帯、絽の帯揚げもまとめてがっつり大人買い。 同行したメンバーも、それぞれ足袋や和装の下着類など、こまごましたものをゲットし、準備万端、晴れ晴れとした顔で店をあとにしました。
で、玄人っぽい浴衣とはいったいどんなものだったかと言いますと…。
これが本当に玄人っぽいのかどうかは定かではありませんが、本人はだいぶ満足気であります。 本番は半幅帯ではなく、名古屋帯でお太鼓結びの予定。いっぱしの出で立ちで緋毛氈に座る自分たちを夢想しては、にんまりとしているここんの面々でありました。
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