本編で若宮おん祭に興味を持っていただいた方が恐らくぶつかるのが、情報の壁です。 「伝統芸能のフジロック」といわれるだけあって、行事もエリアも時間も、いかんせんWIDE。 にもかかわらず、どれだけネットや本で情報を求めても、ぼやーっとしかわからない。 この神事が、あくまでも神社と地元のお祭りであって、システマチックに観光化されていないからかもしれません。
ということで、今回ガチに右往左往したここんが、その経験を活かし、痒い所に手が届く実用情報をお届けしたいと思います。 各種情報誌で祭の概要を把握した上で、このページを確認しておくと、現地で役立つこと間違いなし!
[1]まずは時間割をチェック!
12月15日~18日の4日間にかけて様々な行事が行われますが、観光客として押さえておきたいのは、以下の8つの行事でしょう。
(★がついているのが芸能が奉納される神事。☆は有料観覧席のあるもの)
≪16日≫ 16時~18時頃 ①宵宮祭★(若宮様をお連れする前の奉納)
≪17日≫ 0時~1時頃 ②遷幸の儀(若宮様をお社からお旅所へお連れする儀式。ここんオススメ!) 1時~2時頃 ③暁祭★(お旅所に着いた若宮様をもてなす儀式) 12時~14時頃 ④お渡り式(若宮様に奉納する芸能集団等が、街中をお練り) 13時~14時頃 ⑤松の下式★☆(お練り集団が境内に入り「影向の松」に向かいプチ奉納) 14時半~22時半 ⑥お旅所祭★☆(各種芸能集団の奉納演舞。長いけど、ここんオススメ!) 23時~24時 ⑦還幸の儀(若宮様をお社へお戻しする儀式。遷幸の儀の逆バージョン)
≪18日≫ 14時~16時頃 ⑧後宴能★(若宮様お発ちの後、観客に向けて祝いの演能)
[2]場所関係を把握!
祭の開催エリアはとにかく広く、しかも原則徒歩。余裕を持ったプランニングが重要です。 攻略マップを作ってみたので、各マークや色付きエリアをクリックして説明をご覧ください。 上記8つの行事は、番号付きでマップに記載。どんな位置関係で催されるのか把握しましょう。 特にお旅所あたりは、ズームして各所をチェック! 各種便利情報(黄色)、本編で紹介した飲食店(水色)も掲載しています。
[3]各行事のポイントを押さえる!
8つの行事全部を見られるとよいのですが、なにぶん、長期戦です。 しかも、ご覧の通り移動も多い。普通はどこかにポイントを絞って見る人がほとんどのようなので、それぞれの行事のコツをご紹介します。無理をせず、まずは②遷幸の儀と⑥お旅所祭を押さえ、そのほかは時間と体力次第で決めるのが、ここんのオススメ!
宵宮祭
16時ちょうどに行くと、すでに人垣があり、遅参の我々はこんな眺めだった…。カメラマンさんは脚の隙間にレンズを入れさせてもらい、ようやく撮影。小さ目の脚立を持っていくと便利。
遷幸の儀
これは絶対見てほしい儀式。マップで示しているエリアで待機がお勧め。カーブの外側にいたほうが、長く行列を見られる。1時間前についていれば十分。遷幸の儀は撮影不可なので、イメージ図で。森の中の参道の両端に人の列、中央に松明を引きずる人と、若宮様を囲みお運びする白装束の人の山。わかります?(笑)この後ろに雅楽隊が続き、その後ろについてお旅所まで移動します。
暁祭
遷幸の儀からの流れで行われる行事。見物客は神様の後ろについてお旅所へ流れ込んで行く。つまり、その後の暁祭は、予めこの場にいた人か、神様の行列の前方にいた人でなければ、人垣がすごくてほとんど観られない。後方からでも見えるよう、ここでも脚立が役立つ。
お渡り式
基本は、地元の方の仮装パレード。のんびり進む。気軽に楽しもう。出発地点の県庁前は人垣が厚いので、早めに陣取るか、別の場所へ。
松の下式
演者は、写真のように影向の松の方向を向いて演じる。参道両サイドに設けられた有料観覧席はおん祭のサイトで事前に予約可能。ただし座席指定は当日この場所で受付順。受付開始は、発表されている時間より早められる場合もあるので要注意。観覧席は高台に設けられるので、演者からは少し遠くなる。観覧席もいいが、お渡り式をあきらめ、早め(1時間前ぐらい?)に行って影向の松の下あたりの場所を確保できると、至近距離で見られる。
お旅所祭
長期戦なので、有料観覧席を確保しておくのがお勧め。席の予約は松の下式と同様。当日受付場所は座席スタンド横。観覧席は芝舞台からけっこう離れているのでオペラグラスがあるとよい。観覧席を取らない場合は、お渡り式と松の下式をあきらめ、早め(1時間前くらい?)にこの写真のようにお旅所入り口付近の行列に並ぶ。
[4]その他、これも確認すべし!
宿…旅行会社が買い占めるため、個人旅行では宿の手配が一苦労。早めに予約するか、民泊も候補に?
防寒…ひじょーーーーに重要です。 今回の取材旅行を通して我々の間で発明された重要な単位、それは「moco(モコ)」。防寒指数というか厚着指数のようなものです。mocoを使って度々相互確認をするのです。「ねえ、何mocoで行く?」「うーん、とりあえず今は7mocoぐらい。でも夜は10mocoになれるよう持っていく」という具合。持参した防寒着をすべて着用すると10mocoで、7mocoはその7割くらいの防寒度、という感じです。 ちなみに10mocoがどんなもんかというと、靴中にホッカイロ、下はパンツ+オーバーパンツ+ダウンスカート、上はヒートテック2枚重ね+裏起毛パーカー+ダウンセーター+ダウンコート、その他マフラー、帽子、手袋、ホッカイロ。これらのアイテムには若干の個人差があり、人によっては「水筒に熱燗」というアイテムなんかもあったりして。 そして極め付けはコレ、「よもぎ温座パット」。発熱体を下着につけて体を中から温めるというシロモノで、行きの新幹線車内でメンバー全員にもれなく支給されました。装着すると一気にプラス10mocoという最強アイテムです。
ペンライト…とにかく陽が落ちると参道は暗い。トイレまでの道のりも暗い。ペンライトがないと危険。
食事…広い境内、さらには街中まで距離があるため、食事の調達は難しい。参道はいくつが茶屋があるが、メニューも座席も限られるし、夕方には閉店。夜までいるなら予め持参されたし。街中まで往復するなら、時間の余裕を。
鹿…神様の使いとされているのでむげにはできないが、食べ物を見ると寄ってくる。ベビーカーに下げたスーパーの袋を食いちぎられていた人もいました。
以上、苦労はありますが、それに勝る感動があります。 880年、一度も絶えることなく続く春日若宮おん祭、伝統芸能のフジロック、一度は体験してみてはいかがでしょうかー!?
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