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日本舞踊その3 できないながらも楽しい稽古

更新日:2021年3月7日

Text by むーちょ

伝統芸能は落語一辺倒。習い事は中学のときの珠算教室が確か最後。 40を過ぎて、身体をちゃんと使ってみたいと思っていたところへ、縁あってこの「おけいこの時間」日本舞踊編に参加することになりました。 初回、予想以上に身体が動かないことに気付いてしまって迎えた三回目。 自分の不器用ぶりも見事なまでに顕在でありました。


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20代半ばの事、教習所で教官に言われました。頭で憶えようとするな、と。 40代前半、ますますその傾向は強固になっているようです。せめてお稽古でこの強固な壁を打破したい!目標、素直に、見たまま身体を動かす!

最初に準備運動として基本稽古。 すでにここでつまずく。 足を鳴らす稽古中に菊之丞先生が「接地しているところって足の裏しかないわけですよね。そこだけが頼りなんです。そこの感覚をもっと研ぎ澄ませて培っていかないとなかなかうまくいかないんです」とお話になった。 現代人は地球にしっかり立てていない、と言ったのは誰だったか・・・その言葉を思い出した。 大地を感じること。

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大地を感じるどころか、足元がふわふわする。 定まらないからたたらを踏みそうになる。 拍子が入ったら自分がどう動いているのか皆目わからなくなった。 あわあわしているうちに「屋敷娘」の音が始まり、16歳の恋する娘の気持ちになってと先生おっしゃるのだが、遠い昔なうえに手元足元不如意なために、16歳どころではない、気持ちどころか身体が追っ付いていかない。脳内真っ白。何かの動きをしているという実感がまるで伴わず、ちょこまかちょこまか落ち着きのない人みたいな状態。

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しかし。そんなまるでついていけない状況でありながらも、先生が歌いながら説明してくださる「屋敷娘」の物語にふむふむと聞き入り、そんな気持ちを胸に秘めながら踊れたら気持ちいいだろうなあとうっとりする。

16歳の頃の自分は器械体操をしていた。 当時は床運動に規定演技というものがあって、決まった曲に決まった動きをのせて演技したのだった。

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そう、あの頃は見たまま素直に動けた。 頭で憶えるんではなく、身体を動かして憶えていた。 16歳の頃の自分はなんと素直だったことよ。 あの頃ならついていけたかもしれないこのお稽古。 思えば遠くにきたもんだ。

 
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